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メラトニンとは?

メラトニンとは?? 

我々の睡眠はメラトニンというホルモンで調節されています。2020年6月には、6歳から15歳までの限定で医療保険においてもメラトベルというメラトニン製剤が処方できるようになりました。

 

メラトニンはアミノ酸の1種であるトリプトファンから4段階の酵素反応を経て生合成され、生合成されたメラトニンは、細胞内で貯蔵されず速やかに細胞外へと分泌されるため、合成量がそのまま分泌量と相関する。

松果体 概日リズムの中枢は視床下部の視交叉上核に存在

網膜視細胞 自律的に振動する概日時計の支配下

 

松果体で作られたメラトニンは、血中に分泌され、脳の別の部位のメラトニン受容体に結合して作用。

メラトニン受容体は、MT1受容体 MT2受容体 MT3受容体

 

MT1受容体 入眠作用   視床下部の視交叉上核に存在 ここにメラトニンがつくと視交叉上核の神経細胞の興奮が抑えられ、体温、血圧が下がり眠りに導く。

 

MT2受容体  体内時計を調節する作用  視床下部の視交叉上核 網膜視細胞に存在。メラトニンが結合すると概日リズム位相変位作用

 

メラトニンのその他の作用としては

抗酸化:体内の活性酸素の除去

抗がん作用;成長ホルモンなどの内分泌物質やリンパ球細胞などの免疫機能を促進する

脂質代謝への影響

とかなり良い作用も認められております。

性成熟抑制:(妊婦には禁忌) に関しては、成長期の子供たちに関しては、長期で使用することは避けたいものです。妊活において、排卵の際に卵子は酸化ストレスの影響を受けると言われていて、卵胞液中に多く含まれるメラトニンにより酸化ストレスから卵を守ると言われています。(Melatonin and the circadian system: contributions to successful female reproduction   Russel J Reiter et al. Fertil Steril. 2014 Aug.)

 

メラトニンの特性としては、

光により働きが弱まる  セロトニンからメラトニン合成するとき働く酵素が光で弱まるので、眠りに入る前は50ルクス以下にすること。青い短波長(ブルーライト、蛍光灯、LED)がメラトニン抑制。白熱灯の長波長があまり影響なし

体内時計の働きで、起床して16時間後メラトニン分泌高まる(ということは、朝6時に起床すると、夜10時には眠くなるという計算、朝5時に起きると夜9時に眠くなるという計算、私は朝5時におきるから夜9時頃眠くて動けなくなる感じはそれではないだろうか)

当院において、概日リズムがコントロール不良になっている方にはメラトニンをお勧めしております。2020年3月メラトベルが本邦においても承認され、同年6月から発売されています。小児期の神経発達症に伴う入眠困難へ保険適応があります。上記に書いた作用において、睡眠導入作用が自然で体内時計を調節してくれる事で、効果を示しております。

 

日中に光を浴びるとメラトニン分泌増える。

メラトニン分泌の半減期は1時間。夜間持続的に分泌されています。サプリは入眠作用はあるが、維持作用はないようです。

寝る前は白熱灯で起きるときは蛍光灯が良いとされています。

メラトニン分泌の根本的治療はセロトニンの分泌をしっかりさせる事。腸のお花畑をしっかり整える事がやはり目標です。