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HPA軸機能障害(副腎疲労症候群)

●症状:

◦慢性的な疲労感、脱力感、

◦熟睡できない

◦性欲の低下

◦ストレスに対応できない

◦立ちくらみ

◦鬱っぽさ

◦カフェイン飲料を欲する

 

完璧主義で疲れやすい人が多く、ストレス、栄養のアンバランス、体内の炎症など多くの要因が重なって、両側の腎臓の上にある3センチほどの臓器の副腎に過剰なストレスが加わり生じる状態です。副腎皮質は、ステロイドホルモン(アルドステロン、コルチゾール、DHEA)を分泌しています。

そのホルモンのコルチゾールは、ストレスホルモンとして知られております。コルチゾールは、本来は日内変動があり、朝多く分泌され、昼には半分以下に減ってきて、夜はほとんど出ないのです。

 

副腎は夜に休息することで、毎日コルチゾールを分泌することができるのです。しかし、絶え間ないストレスや、体内に炎症があると、副腎は体を守るために1日中コルチゾールを分泌しなければなりません。そうなると副腎はだんだん疲れて、最終的にはコルチゾールを出すことも出来なくなってしまうのです。

また、糖新生は、コルチゾール等の刺激で、肝臓において、グリコーゲンからブドウ糖を作り出す仕組みですが、HPA軸障害においては、コルチゾール低下を示すときは、糖新生がうまくいかなくて、低血糖を起こしやすくなります。

副腎疲労の提唱者ジェームス ウイルソン医師は、副腎疲労をアジソン病でない、副腎機能低下とよび区別しています。日本においては、HPA軸機能障害(副腎疲労症候群)は病名ではなく、病態として一部の医師には認知されていますが、原則、検査、治療は自費となります。

副腎は、栄養素の要求の高い臓器であり、栄養療法による改善が期待できる病態であると考えます。

体内のビタミンCの分布は、体内において副腎が一番高いため、副腎のストレス状態では、ビタミンCを必要とし、ビタミンCの投与を行うことは多いです。

また同物同治療として昔より副腎の治療には、副腎抽出物も使用されて効果を認めます。

また、副腎のホルモンの材料は、コレステロールです。様々な過程を経て、コルチゾールに変換されます。その変換に必要なのが、ビタミンC,ビタミンB5です。コレステロールの値の低さは、副腎疲労、鬱と関係しているとの論文も見かけます。

疲れやすさとは、ミトコンドリア障害の症状です。ATP産生に支障をきたしている状態としては、マグネシウムが必要です。マグネシウムはストレス下では、消費が増えるからです。

 

検査

コルチゾールは、活性型と非活性型がありますが、採血において、コルチゾールはHPA軸機能障害では、多くの場合は正常の値を示します。血中においては、1~15%のコルチゾールが、非結合の遊離蛋白活性型であって、それ以外は、血清蛋白質と結合しています。遊離コルチゾールは、細胞内機構により血中から唾液中に移行して唾液中ではほかの蛋白質とはほとんど結合せず、遊離状態のままです。これまでの研究においては、コルチゾールの唾液内濃度と血中濃度は強い相関が示されていて、唾液中濃度から血中濃度を正確に予測することができるのです。

唾液コルチゾール検査で蛋白質に結合してないコルチゾールを測定できます。それが活性型のコルチゾールで副腎機能を正確に反映します。1日4回唾液を取り、コルチゾールの日内変動を調べます。唾液を使用する侵襲がない検査ですが、日本においては、保険適応にはなっていないため、海外のラボに自費で送る方法を行っています。

90~95%の血清中のコルチゾールがアルブミンや赤血球細胞膜に結合しており、日結合のコルチゾールのみが生理活性をもつ Psychosom Med.  1999 Mar-Apr;61(2):214-24

 

 

最近はその検査に起床時の唾液の検査も加えたコルチゾールを6回測定するCAR(Cortisol Awakening Response)検査も出来ました。



健常な人のコルチゾールの値は、起床時から30~45分後は35~60%上昇し、60分後までに低下します。このピークをコルチゾール覚醒反応といいます。結果Phase 0の患者が早期のHPA軸機能不全と分かることあります。

CAR上昇:継続するストレス(就業日に高くなる傾向) 鬱 排卵期 睡眠の問題 年配者 大量飲酒CAR鈍麻 燃え尽き症候群 上昇は休日には収まる傾向 ストレスに対処出来ている状態

CAR低下:睡眠時間の減少 睡眠時無呼吸

 

その他の検査  DHEA—-S 採血、体内ミネラルオリゴスキャン、毛髪検査 も参考になります。

  

 副腎疲労病態のステージ分類

ステージ1 ステージ2 ステージ3に分類されます。

治療方法

結果に基づいて、副腎疲労のステージにより、生活習慣の指導(運動、食事、睡眠、瞑想)

また、手段として、希望される場合はサプリメントの処方を行います。

基本  食事:1日3食+補食、起床1時間以内に朝食、グルテンフリー、水分を十分に

 ステージ1:


過剰なコルチゾールを下げる目的に:有酸素運動 ヨガ ストレッチ(リラックス系)瞑想

HPA軸を調節する作用のあるビタミンC3g,副腎ハーブ、αリポ酸 クロム マルチビタミンミネラル DHEA 厚朴 黄柏(百丸草)

運動:年齢の最大心拍数の70~75%を40~50分 毎日 交感神経を鎮めコルチゾールレベルを整える。ただしオーバートレーニングは注意。

コルチゾール抑制サプリのDHEA フォスファチジルセリン

治療期間:半年~1年ほど

 ステージ2:


HPA軸を調節する作用のあるビタミンC,副腎ハーブ、αリポ酸 クロム マルチビタミンミネラル

コルチゾール上昇サプリ 甘草 筋トレ

治療期間:1年~2年ほど 

 ステージ3:


HPA軸を調節する作用のあるビタミンC,副腎ハーブ、αリポ酸 クロム マルチビタミンミネラル

筋トレ

治療期間:2年必要

 

HPA軸機能障害の全てにおいて当てはまる治療 

すべてのステージに対して睡眠の治療:あかりを消す  室温は低い温度に設定  カフェインを徐々に減らすこと

ブルーライトは睡眠2,3時間前から見ない事  瞑想すること 休みの日も同じ時間に起きる事

血糖値を安定させること

EAT療法:上咽頭擦過方 上咽頭の炎症を調べて、炎症のある場合は自律神経のバランスを整える意味

腹部膨満感の同時に認める場合は、抗ピロリ菌効果抗カンジダ作用(抗真菌作用)のある、サッカロミセスブラウデイも併用する事。

分子栄養学実践講座資料より抜粋

 

※副腎疲労を疑い受診された患者様の中に、甲状腺疾患やその他の診断のつく方がおられます。ホルモン値の採血やその他の検査等で病気と診断をされた場合はその治療が優先されます。病気として診断がつかない場合に副腎疲労(HPA軸機能障害)を疑い治療をいたします。そのための採血も必要とする場合もございます。